保護者向けガイド

不登校でも高校受験はできる?内申と進路の選択肢

公開日: 2026-08-08 / 最終確認日: 2026-08-08

保護者

中学3年の子どもが不登校で、ほとんど学校に行けていません。内申点がない状態で、高校受験なんてできるのでしょうか。

案内役

結論から言うと、不登校で欠席が多くても高校受験はできますし、不登校の受検者に配慮した仕組みを用意している都道府県が多くあります。文部科学省の調査では、令和6年度の不登校の中学生は216,266人、小・中学校全体では353,970人と過去最多でした。同じ心配を抱えている家庭は決して少なくないからこそ、入試の側にも配慮の仕組みが整えられてきています。

保護者

そんなに多いんですね。少し気が楽になりました。

案内役

ただ、国も「学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること」と通知で指摘しているとおり、進路への影響がゼロというわけではありません。大事なのは、お住まいの都道府県の仕組みを早めに知って準備することです。この記事では、内申点と欠席の扱い、都道府県ごとの配慮の例、進路の選択肢、出願前に確認したいことの順に見ていきます。

内申点と欠席は入試でどう扱われるのか

保護者

そもそも「内申点がない」というのは、入試ではどういう扱いになるのでしょうか。

案内役

高校入試では、中学校が作成する「調査書」が選抜資料のひとつになります。調査書には各教科の評定、いわゆる内申点のほか、都道府県によっては出欠の記録なども記載されます。不登校で授業や定期テストを受けられていないと、評定がつかなかったり低くなったりすることがあり、これが「内申が心配」と言われる理由です。

保護者

欠席日数そのものも、合否に響くのでしょうか。

案内役

ここが都道府県によって大きく違うところです。文部科学省は令和元年の通知で「高等学校で学ぶ意欲や能力を有する不登校生徒について、これを適切に評価することが望まれる」と示していて、各都道府県がそれぞれの方法で配慮を設けています。たとえば三重県は、不登校等で欠席が多いことを理由に不合格とすることのないよう実施細目に記載し、高等学校に周知しています。

保護者

欠席が多いだけで落とされるわけではないのですね。

案内役

そうした配慮を明文化している県がある、ということです。代表的な仕組みが「自己申告書」です。欠席が多くなった事情や、その間に取り組んできたことを受検者本人が書いて出せる書類で、文部科学省の令和5年度の調査では、自己申告書を提出できる(または提出させる)としている都道府県は全校実施が25、一部の学校での実施が5ありました。半数以上の都道府県に、事情を自分の言葉で伝える仕組みがあるということです。

保護者

具体的には、どんな配慮があるのか知りたいです。

都道府県ごとの配慮の例

案内役

文部科学省の「高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査」に、各都道府県の回答がまとまっています。令和5年度入学者選抜についての回答から、タイプの違う例をいくつか挙げます。

都道府県配慮の例(令和5年度入学者選抜の状況調査より)
青森県いずれかの学年の欠席日数がおおむね30日以上ある場合、本人の希望により自己申告書を提出できる
埼玉県不登校の生徒などを対象とした特別な選抜を、すべての高等学校の一般募集で実施
神奈川県出席すべき日数の3分の1以上欠席した場合、申請により「資料の整わない者」として扱い、指定した学年の調査書の学習の記録を選考に使用しない
東京都チャレンジスクール等では学力検査を実施せず、志願申告書・面接・作文を総合した審査で選考
山口県不登校の者が受検しやすい多部制定時制課程の学科を設置
保護者

東京都の「チャレンジスクール」というのは、どんな学校ですか。

案内役

都立の定時制高校の一種で、令和8年度の入学者選抜実施要綱では、チャレンジスクールと八王子拓真高校のチャレンジ枠は学力検査を実施しないと定められています。選考は志願申告書、面接、作文を総合した審査結果と、入学願書による志望などで行われます。中学校の評定に自信がなくても、いまの学ぶ意欲を自分の言葉で伝えて挑戦できる仕組みです。

保護者

内申点を使わない選抜が実際にあるんですね。

案内役

神奈川県の例のように、申請すれば指定した学年の評定を選考に使わない県もあります。ただし、ここで挙げたのはあくまで調査時点の例で、入試制度は都道府県ごとに異なり、年度によって変わります。お住まいの県で同じ仕組みがあるとは限らないので、必ず最新の情報を確認してください。

制度は都道府県と年度で変わります

この記事の配慮の例は、文部科学省の令和5年度状況調査と東京都の令和8年度実施要綱にもとづくものです。名称・条件・対象校は都道府県ごとに異なり、毎年見直されます。出願前に、必ずお住まいの都道府県教育委員会が公表する最新の「入学者選抜実施要綱」を確認してください。

保護者

配慮があるのはわかりました。そもそもどんな進路の選択肢があるのかも知りたいです。

不登校経験のある子の進路の選択肢

案内役

公立・私立の全日制高校だけが進路ではありません。大きく分けると、いま挙げたような配慮を使って全日制を受検する道、埼玉県の特別な選抜のような不登校の生徒などを対象にした枠で受検する道、そして学び方そのものが柔軟な学校を選ぶ道があります。

保護者

学び方が柔軟な学校というと、定時制や通信制のことでしょうか。

案内役

そうです。定時制は山口県の例のように、朝・昼・夜など複数の時間帯から選べる多部制を設けている県があり、生活リズムを立て直しながら通いやすい形になっています。通信制は登校日数が少なく、自分のペースでレポート中心に学ぶ課程です。東京都のチャレンジスクールのように、不登校経験のある生徒を主に受け入れることを想定した学校を設けている自治体もあります。

保護者

どれがうちの子に合うのか、迷いそうです。

案内役

学校の知名度や序列ではなく、いまの本人の状態から考えるのがおすすめです。毎日通える体力が戻っているか、集団の授業に入れそうか、自宅学習が中心のほうが安心か。本人が見学して「ここなら居られそう」と感じられるかどうかが、入学後に続くかどうかを大きく左右します。

進路を考えるときの視点

  • 通学頻度: 毎日通うのか、週数日か、レポート中心か
  • 時間帯: 朝からか、昼・夜間など選べる多部制か
  • 選抜方法: 学力検査・調査書・面接・作文のどれが使われるか
  • 本人の実感: 見学して「ここなら通えそう」と思えるか
保護者

いまフリースクールに通っているのですが、それは受験にどう関わりますか。

フリースクール通いと受験準備

案内役

まず在籍中学校との関係で大事なのが「出席扱い」の制度です。文部科学省の令和元年通知では、義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設で指導・助言等を受けている場合の指導要録上の出席扱いは、通知の別記1の考え方によるとされています。フリースクールでの活動が在籍校で出席扱いと認められる場合があり、条件と手続きはフリースクールの出席扱いの条件で詳しく説明しています。

保護者

出席扱いになっていれば、調査書の欠席も減るということですか。

案内役

出席扱いと認められた日は、指導要録上の欠席日数には数えられない扱いになります。ただし認めるかどうかは在籍校の校長の判断で、調査書にどう反映されるかは都道府県の様式によっても違います。フリースクールでの学習内容を在籍校に伝えておくと、学校側も状況を把握しやすくなるので、担任の先生と情報共有を続けておくことが受験準備の土台になります。

保護者

なるほど、中学校との連携が大事なんですね。

案内役

はい。自己申告書のような書類も、欠席の間に何をしてきたかを書く場面で、フリースクールでの活動や家庭学習の積み重ねがそのまま材料になります。空白の期間ではなく、その子なりに歩んできた期間として伝えられるよう、記録を残しておくと安心です。

保護者

実際に受験に向けて、いつ頃から何を確認すればいいでしょうか。

出願前に確認したいこと

出願前の4ステップ。1担任に相談、2要綱を確認、3制度を調べる、4見学・相談
案内役

中学3年の夏から秋にかけて説明会や要綱の公表が続くので、それより前に情報集めを始められると余裕が持てます。動き方の目安を挙げます。

  1. 在籍中学の担任・進路指導の先生に相談する(調査書は中学校が作成するため、状況の共有が出発点)
  2. お住まいの都道府県教育委員会のサイトで、最新の「入学者選抜実施要綱」を確認する
  3. 自己申告書・特別な選抜など不登校の受検者向けの仕組みの有無と条件を調べる
  4. 候補の高校の説明会や見学に本人と参加し、個別相談で欠席の扱いを直接確認する
保護者

自分の県の制度は、どう調べるのが確実ですか。

案内役

「お住まいの都道府県名 公立高校 入学者選抜 実施要綱」で検索すると、教育委員会の公式ページが見つかります。要綱は長い文書なので、わからない部分は中学校の進路指導の先生に聞くか、教育委員会の入試担当窓口に直接問い合わせて構いません。私立高校は学校ごとに選抜方法が違うので、個別の説明会で欠席の扱いを確認するのが確実です。

保護者

聞いてもいいものなんですね。

案内役

入試の窓口は毎年こうした相談を受けています。最後に、よくある質問をまとめておきます。

よくある質問

保護者

内申点がほとんどつかない状態でも、出願はできますか。

案内役

出願自体は可能です。評定がつかない場合の調査書の扱いは都道府県ごとに定められていて、神奈川県のように申請により指定学年の学習の記録を選考に使わない仕組みや、学力検査を実施しない選抜を設けている例もあります。お住まいの県での扱いは、最新の実施要綱と中学校の先生への確認をおすすめします。

保護者

自己申告書には、何を書けばいいのでしょうか。

案内役

様式と記載内容は都道府県ごとに定められていますが、欠席にいたった事情や、その間に取り組んできたこと、高校で学びたいことを自分の言葉で伝える書類として位置づけられています。フリースクールや家庭での学習の記録が材料になるので、日々の取り組みを残しておくと書きやすくなります。

保護者

フリースクールに通っていることは、受験で不利になりませんか。

案内役

フリースクールに通っていること自体を理由に不合格にするような仕組みは、今回確認した一次情報には見当たりません。むしろ出席扱いの制度や自己申告書のように、学校外での学びを前向きに伝える経路が用意されてきています。個別の高校での扱いが気になる場合は、説明会や個別相談で率直に聞いてみてください。

この記事について

この記事は一般的な情報の提供を目的としています。出席扱いや公的支援などの制度は自治体・学校ごとに運用が異なるため、最終的な判断は在籍校・教育委員会・各施設への確認をお願いします。記事はAIによる下書きと機械チェックののち、公開前に人間が内容を確認しています(編集・レビュー方針)。

参考資料(一次情報)