保護者向けガイド

近くにフリースクールがない時の選択肢

公開日: 2026-08-04 / 最終確認日: 2026-08-04

保護者

中学2年の子どもが学校に行けなくなって、フリースクールを探しています。ただ、住んでいる県にはほとんど施設がなくて、いちばん近いところでも片道1時間半かかります。こういう地域だと、もう打つ手がないのでしょうか。

案内役

打つ手がない、ということはありません。フリースクールは民間の運営が中心なので、人口の多い地域に集まりやすく、県によって施設数の差が大きいのは事実です。ただ、学校に行けない時期の学びと居場所を支える仕組みは、フリースクールだけではありません。公的な施設、学校の中の別室、オンライン、自宅での学習と、いくつかの層に分かれています。この記事では、探し方の見直し、公的な選択肢、通えないときの選択肢、遠方へ通うかどうかの判断、地域の相談先の順に見ていきます。

保護者

順番に知りたいです。まず何から確かめればいいでしょうか。

「近くにない」と決める前に確かめること

案内役

最初に確かめたいのは、探した範囲が「フリースクール」という言葉だけに絞られていないかどうかです。同じような役割の場が、地域によっては別の名前で運営されていることがあります。「子どもの居場所」「学習支援教室」「不登校親の会」といった呼び方で、公民館やNPO、社会福祉協議会が関わっている例もあります。検索エンジンだけでなく、市区町村の広報やホームページの子育て・教育のページも見てみてください。

「フリースクール」以外に探してみる言葉

探す言葉見つかりやすい場所
教育支援センター/適応指導教室市区町村の教育委員会のページ
子どもの居場所/こども食堂市区町村の福祉・子育て担当のページ
学習支援教室社会福祉協議会、NPOのサイト
不登校 親の会都道府県の教育相談窓口、地域の掲示板
オンラインフリースクール全国どこからでも参加できる形
保護者

名前が違うだけで、近くに似た場があるかもしれないんですね。

案内役

そうです。特に公的な仕組みは、自治体の担当課に聞かないと表に出てこないことがあります。文部科学省も、各教育委員会が作成した地域の相談支援機関等の情報を都道府県ごとにまとめて公開しています。まずここを開いて、お住まいの都道府県のページから地元の窓口をたどるのが近道です。窓口の探し方は記事の最後でもう一度触れます。次は、その中でも中心になる公的な選択肢を見ていきます。

公的な選択肢は教育支援センターと校内の別室

通う距離の近い順に、自宅でのICT学習・自宅からのオンライン・学校内の別室・教育支援センター・遠方のフリースクールの5つを並べた図
案内役

民間のフリースクールが近くにない地域でも、教育委員会が設置する教育支援センター(適応指導教室と呼ばれることもあります)があるかもしれません。制度の順番としても、実はこちらが先に置かれています。学校外の施設で相談・指導を受けた日を出席扱いにする取扱いでは、その施設は教育委員会等が設置する教育支援センター等の公的機関とされていて、公的機関での指導の機会が得られない、あるいは公的機関に通うことが困難な場合で、本人や保護者の希望もあり適切と判断される場合に、民間の相談・指導施設も考慮されてよいとされています。

保護者

順番があるとは知りませんでした。まず教育委員会に聞いてみる、ということですね。

案内役

はい。フリースクールが少ない地域ほど、教育支援センターの有無を先に確認する価値があります。もう一つ、移動距離がゼロで済む選択肢として、学校の中の別室があります。文部科学省は、既存の学校教育になじめない児童生徒について、保健室・相談室・学校図書館等を活用しつつ、徐々に学校生活への適応を図っていけるような指導上の工夫が重要だとしています。教室に入るのは難しくても、別の部屋なら行ける日がある、という子は少なくありません。

通う距離で見た選択肢の並び

選択肢通う場所主な相談先
校内の別室(保健室・相談室・図書館など)在籍校担任、スクールカウンセラー
教育支援センター(適応指導教室)市区町村内の施設市区町村の教育委員会
民間のフリースクール施設の所在地施設に直接、または教育委員会
オンラインの学びの場自宅各サービスの窓口
自宅でのICT等を活用した学習自宅在籍校の担任・校長
保護者

距離の順に並べると見通しが立ちますね。

案内役

距離と本人の状態、その二つで考えると選びやすくなります。ただ、教育支援センターも市区町村に一つ、といった配置のことがあり、そこも遠い場合があります。そこで次は、どこにも通えないときの選択肢に進みます。

通えないときはオンラインと自宅での学習

出席扱いの2つの入口を比べた図。通所して相談・指導を受ける場合と、自宅でICT等を活用した学習を行う場合を並べ、どちらも判断するのは在籍校の校長であることを示している
案内役

通所そのものが難しい場合、オンラインで参加できる学びの場と、自宅での学習という二つの方向があります。オンラインフリースクールは所在地に関係なく参加できるので、施設が少ない地域とは相性が良い選択肢です。タイプや比べ方はオンラインフリースクールの選び方にまとめています。もう一つの自宅での学習については、出席の扱いに関する取扱いが別に定められています。

保護者

家で勉強した日も、学校の出席として扱われることがあるのですか。

案内役

一定の要件を満たした場合に限られますが、あります。義務教育段階の不登校の子どもが、自宅で教育委員会・学校・学校外の公的機関または民間事業者が提供するICT等を活用した学習活動を行った場合、校長が指導要録上の出席扱いとし、その成果を評価に反映できることとされています。そしてこの取扱いは、基本的に、学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動が対象とされています。つまり近くに通える場所がない状況は、この枠組みで検討される余地があるということです。

保護者

それは知りませんでした。ただ、条件があるということですよね。

案内役

そこは慎重に見てください。要件の一つとして、訪問等による対面指導が適切に行われることが前提とされ、その対面指導は定期的かつ継続的に行われるものであることとされています。自宅学習だけで完結する仕組みではない、という点が重要です。対面指導を行う人としては、在籍校の教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの専門家のほか、教育支援センターの職員、教育委員会等による事前の指導・研修を受けたボランティアスタッフなども想定されています。誰がどの頻度で関わるかは、学校と相談して形を作っていくことになります。

出席扱いは自動では決まりません

  • 自宅で学習した日が、そのまま出席扱いになるとは限りません。
  • 判断するのは在籍校の校長で、教材やサービスの側が決めるものではありません。
  • 文部科学省は一律の基準を示しておらず、学校や教育委員会が一定の基準を作ることが必要とされています。運用は地域や学校で違います。
  • まずは在籍校の担任・校長、市区町村の教育委員会に、家庭の状況を伝えて相談してください。
保護者

学校に相談するところから始まるんですね。

案内役

そのとおりです。制度の条件や手続きの流れはフリースクールの出席扱いの条件と手続きで詳しく扱っています。ここまでが「通わない」方向の話でした。次は、それでも遠くの施設に通うかどうかを考えるときの見方です。

遠くの施設に通うかを決める前に

保護者

片道1時間半のフリースクールに、思い切って通わせるという選択もありますよね。

案内役

あります。ただ、決める前に「週に何回なら続けられるか」を先に置いてみてください。週5日通う前提で考えると距離の負担が大きすぎて、始める前に諦めてしまうことがあります。月に1〜2回の通所を軸にして、ふだんはオンラインや自宅の学習で組み立てる形も選べます。学校外の施設で相談・指導を受けた日を出席扱いとする取扱いは、その施設に通所または入所して相談・指導を受ける場合を前提としているので、通う回数は出席の扱いにも関わります。

遠方の施設を検討するときに確認したいこと

確認すること見るところ
通う頻度週1回や月2回など、少ない頻度での利用を受け入れているか
移動の手段送迎が必要か、公共交通機関で本人が一人で行けるか
移動時間の負担往復にかかる時間と、その日の疲れ方
交通費月あたりの実額と、利用料に上乗せされる負担
併用のしやすさオンライン参加や自宅学習と組み合わせられるか
在籍校との連携通所の記録を学校に共有する仕組みがあるか
保護者

交通費まで入れて考えると、けっこう変わりますね。

案内役

費用の全体像はフリースクールの費用の目安、見学のときに聞くことはフリースクール見学で聞くことのチェックリストにまとめています。遠方の施設ほど、見学の一度で決めずに、本人が移動を含めて続けられそうかを確かめてください。距離があるぶん、合わなかったときの切り替えも重くなります。無理のない頻度から始めるのが現実的です。

住んでいる地域の相談先をたどる

保護者

結局、まずどこに連絡するのがいいのでしょうか。

案内役

順番があります。在籍校で状況を共有したうえで、市区町村、都道府県と広げていく形が動きやすいです。学校は出席の扱いを判断する立場でもあるので、早い段階で話しておくと後の手続きが進めやすくなります。

  1. 在籍校の担任やスクールカウンセラーに、通える範囲に施設がない状況を伝える。
  2. 市区町村の教育委員会に、教育支援センター(適応指導教室)の有無と利用条件を聞く。
  3. 文部科学省の「不登校に関する地元の相談窓口」から、お住まいの都道府県のページをたどる。
  4. 通える場がない場合は、オンラインの参加や自宅での学習を出席の扱いも含めて学校と相談する。
保護者

学校が最初、というのは少し勇気がいりますが、順番としては納得しました。

案内役

話しにくいときは、担任ではなくスクールカウンセラーや教頭・校長から入っても構いません。もう一つ、選択肢として学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)もあります。不登校の子どもの実態に配慮した特別の教育課程を編成できる学校で、平成17年7月から文部科学大臣の指定により行うことが可能になった仕組みです。設置している自治体はまだ限られるので、お住まいの地域にあるかどうかは文部科学省の設置者一覧で確認できます。

保護者

選択肢が思っていたより多くて、少し気持ちが軽くなりました。

案内役

施設の数が少ない地域でも、届く形は残っています。文部科学省も「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」(令和5年3月31日)として、学びの場を広げる取り組みを進めています。今の時期に大切なのは、通える場をすぐ見つけることよりも、お子さんが安心して過ごせる時間を確保することです。フリースクールそのものの位置づけを確かめたいときはフリースクールとはどんな場所か、学校に行けなくなった時期の過ごし方は子どもが学校に行けなくなったらも読んでみてください。

この記事について

この記事は一般的な情報の提供を目的としています。出席扱いや公的支援などの制度は自治体・学校ごとに運用が異なるため、最終的な判断は在籍校・教育委員会・各施設への確認をお願いします。記事はAIによる下書きと機械チェックののち、公開前に人間が内容を確認しています(編集・レビュー方針)。

参考資料(一次情報)