保護者向けガイド

不登校でゲームばかり。取り上げるべき?親の対応と相談先

公開日: 2026-09-22 / 最終確認日: 2026-09-22

保護者

不登校になってから、子どもが朝から晩までゲームと動画ばかりです。学校に行かないのに遊んでいる姿を見ると腹が立って、ゲーム機を取り上げるべきか毎日迷っています。このまま依存になってしまわないかも心配です。どうすればいいのでしょうか。

案内役

「ゲームばかり」は、不登校のご家庭から最も多く聞く悩みの一つです。先にお伝えしたいのは、取り上げるかどうかを決める前に、知っておくと判断が変わる公的な資料がいくつかある、ということです。国の調査で見た同世代の実態、文部科学省が示す不登校の「休養」の考え方、厚生労働省の補助事業で作られたゲーム依存の相談対応マニュアルの3つを軸に、取り上げるべきか、依存との違い、家庭でのルールの決め方、相談先の順にお話しします。

ゲームばかりはうちだけ?データで見る同世代の実態

保護者

まず知りたいのですが、うちの子だけが異常なのでしょうか。周りの子はもっと勉強しているように見えます。

案内役

この節では「そもそも今の10代はどれくらいゲームやネットを使っているか」を国の調査で確認します。こども家庭庁が令和8年3月に公表した令和7年度「青少年のインターネット利用環境実態調査」では、満10歳から17歳の青少年の99.0%がインターネットを利用していると答えました。利用する機器はスマートフォンが78.5%、学校配布の端末が72.7%、そしてゲーム機が66.2%で、3人に2人がゲーム機でネットにつながっています。

保護者

ゲーム機が当たり前の道具になっているんですね。

案内役

使い方の中身も見てみましょう。同じ調査では、中学生の利用内容は動画視聴が92.0%、検索・調べものが88.8%、ゲームが87.1%で上位を占めています。10歳以上の小学生も動画視聴88.8%、ゲーム85.5%が上位です。つまり「動画とゲーム」は、不登校かどうかに関係なく、今の子どもの標準的なネットの使い方だと言えます。

保護者

時間はどうでしょう。うちは一日中なので、平均よりずっと長い気がします。

案内役

平日1日あたりの平均利用時間は、利用している機器の合計で約5時間27分でした。前年度より約25分増えています。学校種別では高校生が約6時間44分、中学生が約5時間24分、10歳以上の小学生が約3時間54分で、目的別では趣味・娯楽が最も長く約3時間1分です。学校に通っている子でも、平日に5時間前後はネットに触れているのが実態です。

数字の読み方

学校に通う子も平日に平均5時間前後ネットを使い、その多くが動画とゲームです。不登校で家にいる時間が長ければ、その分だけ利用時間が伸びるのは自然な流れで、時間の長さだけで「うちの子はおかしい」と決める材料にはなりません。ただし、後述するように、時間の長さに伴って生活上の問題が増えていないかは別に見ておく必要があります。

保護者

平均が5時間と聞いて少し落ち着きました。家庭のルールはみなさん作っているのでしょうか。

案内役

同じ調査には、家庭のルールについての結果もあります。学校種が上がるにつれて「ルールを決めていない」という回答が増え、子どもと保護者の間で「ルールがあるかどうか」の認識のギャップも広がる傾向が出ています。親は「決めたつもり」でも、子どもは「決めた覚えがない」という状態が、年齢が上がるほど増えるということです。ここは後半のルール作りの節で触れます。

保護者

実態はわかりました。では本題です。取り上げるべきなのでしょうか。

取り上げるべき?「休養」の考え方と取り上げのリスク

案内役

この節の結論を先に言うと、「無理やり取り上げること」は公的な資料の中で明確にリスクとして扱われています。まず前提として、文部科学省の令和元年10月25日の通知では、不登校の支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にせず、子どもが社会的に自立することを目指すとされています。あわせて、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益といったリスクにも留意する、と書かれています。

保護者

「休養」と言われても、ゲームで休んでいるとは思えないのですが。

案内役

その感覚はよくわかります。ここで参考になるのが、厚生労働省の補助事業として令和4年3月に作られた「ゲーム依存相談対応マニュアル」です。相談を受ける側の専門職向けの資料ですが、保護者が読んでも役立つ記述が多くあります。このマニュアルは、子どもが現実社会のストレスをゲームで紛らわせている場合、大人が無理やりゲームを取り上げたりやめさせたりすると、かえって症状を悪化させ、人間関係がよりうまくいかなくなることにつながる、と述べています。

保護者

取り上げると悪化することがあるんですね。

案内役

はい。同じマニュアルは、回復は必ずしも「断ゲーム」を目指すことではない、とも書いています。理由は2つです。断ゲームを強制すると反発や暴力といった別の大きな問題が生じかねないこと、そしてゲームをしなくなったからといって生活習慣の乱れや不登校、家族関係の悪化がすぐに解決するとは限らないことです。さらに、オンラインゲームではゲーム内の人間関係によって社会とつながっていることがあり、やめることで他者とのコミュニケーションを断絶させる危険性もある、と指摘しています。

保護者

学校に行っていない今、ゲームの中の友だちが唯一のつながりかもしれません。

案内役

その視点はとても大切です。不登校のお子さんにとって、ゲームは「サボり道具」ではなく「今の自分に残っている居場所」になっている場合があります。取り上げた後に何が残るかを先に考えると、判断が変わることが多いです。マニュアルには、ゲーム機を取り上げようとして子どもが大暴れし家族が身の危険を感じることも珍しくない、その場合は無理に取り上げずに別の方法を考える、という記述もあります。

力ずくの取り上げ・Wi-Fi切断は慎重に

厚生労働省補助事業のマニュアルは、無理やりの取り上げが症状の悪化や人間関係の悪化、反発や暴力につながりうることを明記しています。家族が身の危険を感じる事態になった場合は、家庭内で解決しようとせず、後述の精神保健福祉センターや保健所に早めに相談してください。

保護者

取り上げないとして、では「ただの遊びすぎ」と「依存」はどう見分ければいいのでしょう。

「依存」との違いは?相談を考える目安

案内役

見分けると言っても、依存かどうかを保護者が診断する必要はありません。ここで確認したいのは、公的資料が示す「相談を考える目安」です。世界保健機関(WHO)は国際疾病分類ICD-11に「Gaming disorder(ゲーム障害)」を分類項目として明記しました。先ほどのマニュアルによると、その説明は、ゲームのコントロールがきかない、ゲームが日常生活で最優先になる、問題が起きているのにゲームを続ける、本人や家族・学業などに著しい障害が出ている、という4項目をすべて満たす必要があります。通常はこうした状態が12か月続いた場合に診断するとされ、重症なら期間が短くても診断可能とされています。

保護者

「すべて満たす」「12か月」というのは、思ったより厳しい条件ですね。

案内役

そうなんです。しかも同マニュアルは、国際的には「何時間以上ゲームをすると依存」という基準は示されていない、とはっきり書いています。一方で、ゲーム時間が長くなるに従ってゲームに関連した問題が悪化することは国内の実態調査でも明らかにされている、とも述べています。つまり見るべきは時間そのものではなく、ゲームによって生活上の問題が起きているかです。診断は医師にしかできませんので、ここでは「相談に行く目安」として捉えてください。

保護者

生活上の問題とは、具体的にどんなことでしょうか。

案内役

マニュアルの表には、ゲームの過剰使用による学校や家庭での問題の例として、遅刻・欠席、学業成績の低下、昼夜逆転またはその傾向、ひきこもり、現実の友人が減った、家で物に当たったり壊したりする、家族への暴言や暴力、ゲーム課金が多い、が挙げられています。不登校のお子さんは「欠席」がすでにある状態なので、それ以外の項目、特に暴言・暴力、課金、体調面の変化がどうかを見ることになります。

相談を考える目安(公的資料の範囲で)

WHOの分類では、ゲームのコントロール障害・生活で最優先・問題があっても継続・著しい障害の4項目をすべて満たすことが条件で、通常12か月の継続が目安です。「何時間以上で依存」という国際基準はありません。家族への暴言や暴力、高額な課金、昼夜逆転が固定して体調を崩している、といった問題が重なっている場合は、家庭だけで判断せず、精神保健福祉センターや保健所に相談する段階と考えてください。診断ができるのは医師だけです。

保護者

依存かどうかは決めつけず、問題が重なっていたら相談、ですね。当面は家庭でどう付き合えばいいでしょう。

家庭でルールを決めるコツ

不登校の子とゲームのルールを決める4ステップ。①本人と話し合う(一方的に決めない)、②徐々に減らす目標にする、③守れなかったら理由を聞いてルールを更新、④「取り上げる」ではなく「保管する」と言い換える
案内役

この節では、マニュアルが示すルール作りのポイントをお伝えします。最も大事な原則は、保護者が一方的にルールを決めるのではなく本人と話し合って決める、ということです。マニュアルは、最初から完全に断ゲームをするのは困難なので徐々に使用時間を減らすことを目標にすべきだとし、子ども自身にルールを提案してもらえば、自分の意思で作ったものとして守ろうとするだろう、と述べています。

保護者

子どもに提案させると、甘いルールになりそうです。

案内役

マニュアルもその点に触れていて、改善効果がわずかなものであっても、本人が作ったルールのほうが守られやすい、という考え方です。守れなかったときの対応も書かれています。本人なりの理由を聞き出し、より低いハードルを提案したり、ルールをアップデートするために話し合うことが大切だとされています。「守れなかったから即取り上げ」ではなく、「守れなかった理由を材料に作り直す」のが基本の流れです。

保護者

取り上げること自体を、ルールに入れてはいけないのでしょうか。

案内役

入れる場合の条件があります。マニュアルは、「取り上げる」「没収する」といったルールを決める際は、理由・期間・返却の条件を事前に明確に伝えておくこと、そして子どもの生活は変化するのでルールは繰り返し話し合い、一緒に決めて更新していくこと、を挙げています。言葉の選び方にも工夫の余地があり、圧迫感のあるフレーズの言い換え例として「取り上げる」を「保管する」に、「このままだと留年する」を「進級できるチャンスがある」に変える例が示されています。

  1. 話し合いの場を作る: 怒っているときではなく、落ち着いているときに「ゲームのことを一緒に決めたい」と切り出す
  2. 本人に提案してもらう: 時間や場面のルールを子ども自身に案として出してもらい、親の希望とすり合わせる
  3. 減らす方向の小さな目標にする: いきなりゼロではなく、今より少し短くする・寝る前の時間帯を空ける、など
  4. 守れなかった理由を聞く: 責める前に理由を聞き、ハードルを下げるかルールを更新するかを一緒に決める
  5. 取り上げを入れるなら条件を先に決める: 理由・期間・返却条件を事前に伝え、「保管する」など圧迫感の少ない言葉で運用する
保護者

一緒に決めて、守れなかったら作り直す。取り上げるなら条件を先に、ですね。

案内役

そのとおりです。前半で触れた調査の結果を思い出してください。学校種が上がるほど「ルールを決めていない」が増え、親子の認識のギャップも広がっていました。「決めたつもり」を「一緒に決めた」に変えるだけでも、状況が動くご家庭は少なくありません。

保護者

家庭でやれることはわかりました。それでも手に負えないとき、どこに相談すればいいですか。

どこに相談すればいい?公的な相談先

案内役

手に負えないと感じたときの相談先は、公的機関がはっきり案内しています。厚生労働省は、「家族や知人が依存症かもしれない」と思ったら、1人で抱え込まず、また1人で解決しようとせずに、まずは近くの保健所や精神保健福祉センターに相談するよう案内しています。どちらも公的な相談窓口で、依存症だと決まっていなくても相談できます。

保護者

精神保健福祉センターというのは、どこにあるものですか。

案内役

厚生労働省の案内によると、精神保健福祉センターは各都道府県・政令指定都市ごとに1か所ずつあり、東京都は3か所です。「こころの健康センター」などと呼ばれている場合もあります。こころの健康の相談、依存症の家族の相談、ひきこもりなど思春期・青年期の問題の相談を、電話や面接で受けています。保健所も、思春期問題やひきこもり相談、依存症の家族相談を受け付けており、保健師や医師、精神保健福祉士などの専門職が電話や面談で対応します。

相談先特徴探し方
精神保健福祉センター都道府県・政令市に1か所(東京都は3か所)。こころの健康、依存症の家族相談、思春期・ひきこもりの相談を電話や面接で「(都道府県名)精神保健福祉センター」で検索、または厚生労働省の依存症対策ページから一覧へ
保健所身近な地域の窓口。保健師・医師・精神保健福祉士が電話や面談で対応。家庭訪問での相談も市区町村または都道府県のサイトで管轄の保健所を確認
依存症相談拠点都道府県・指定都市が依存症相談員を配置して設置を進めている拠点厚生労働省の依存症対策ページから依存症対策全国センターの検索へ
学校・教育委員会不登校の支援全般の窓口。福祉や医療との連携の入口にもなる在籍校の担任・スクールカウンセラー、教育支援センター
保護者

学校にもゲームのことを話していいのでしょうか。

案内役

話してよいと考えます。文部科学省の通知では、不登校の要因や背景によっては福祉や医療機関等と連携すること、保護者と課題意識を共有して一緒に取り組む信頼関係をつくり、保護者が気軽に相談できる体制を整えることが重要だとされています。学校側にとっても「家でどう過ごしているか」は支援を考える材料になります。ただし、どの窓口につなぐかは学校や教育委員会の判断になりますので、相談先の候補として頭に入れておく形がよいと思います。

保護者

同じ悩みの親同士で話せる場はありますか。

案内役

一例として、国立病院機構久里浜医療センターのネット依存治療研究部門(TIAR)は、平成23年12月からネット依存家族会を開いており、月1回開催されています。同センターのネット依存外来に通院中の方のご家族などが対象で、誰でも参加できる場ではありませんが、公的な医療機関が家族向けの場を持っている、ということは知っておいてよい情報です。お住まいの地域については、精神保健福祉センターに家族会の情報を聞くのが近道です。

相談先に迷ったときの順番

まずは精神保健福祉センターか保健所に電話で状況を伝えるところから始めてください。受診が必要かどうかや精神科医療についての相談も、そこで受けられます。「依存症かどうか」を家庭で決めてから行く必要はありません。

保護者

相談先はわかりました。最後に、ゲーム以外の時間を少しでも作るには何が必要でしょうか。

ゲーム以外の時間をつくる居場所

案内役

その問いへの答えが、この記事で最もお伝えしたい話です。マニュアルは相談を受ける側に対して、ゲーム依存の人の中には不登校やひきこもりの状態のケースもあり、その背景にはさまざまな要因があるので、ゲームの問題にばかり目を向けず背景の課題を支援するように、と書いています。そして不登校やひきこもりの改善には時間がかかる、とも述べています。ゲームを減らすことと、ゲームの代わりになる時間や場所を用意することは、切り離せません。

保護者

家にいる限り、ゲーム以外にやることがないのが正直なところです。

案内役

そこが核心です。同じマニュアルには、発達障害を背景に持つ場合の対応として、放課後等デイサービス、フリースクール、デイケアなど自宅以外の居場所を見つけ、ゲームから離れる時間を増やすことも必要だ、という記述があります。この一文は発達障害の文脈で書かれたものですが、「自宅以外の居場所がゲームから離れる時間をつくる」という考え方は、多くの不登校のご家庭に当てはまると考えます。

保護者

フリースクールに行けば、ゲームの時間が減るということですか。

案内役

「行けば減る」と約束できるものではありません。ただ、家以外に安心して過ごせる場所と人ができれば、その時間はゲームから物理的に離れる時間になります。フリースクールの中には、ゲームやパソコンを禁止せず、むしろ好きなことを入口に他の子や大人とつながることを大事にしている場所もあります。どんな一日を過ごすかはフリースクールの一日の流れで、そもそもの仕組みはフリースクールとはで紹介しています。

保護者

ゲームを禁止しない場所もあるんですね。

案内役

はい。見学のときに「ゲームやスマホの扱いはどうしていますか」と聞いてみると、その施設の考え方がよくわかります。あわせて、昼夜逆転が固定している場合は昼夜逆転との向き合い方、不登校になって間もない時期の対応は子どもが学校に行けなくなったときの初期対応、相談先全般は不登校の親の相談先にまとめています。お住まいの地域の施設は、トップページの都道府県検索から探せます。

この記事の要点

今の10代は学校に通う子でも平日平均5時間前後ネットを使い、動画とゲームが中心です。文部科学省は不登校の時期に休養の意味があることを示し、厚生労働省補助事業のマニュアルは無理やりの取り上げが悪化につながりうると明記しています。「何時間以上で依存」という国際基準はなく、見るべきは暴言・暴力や課金、体調など生活上の問題が重なっているかどうかです。ルールは本人と一緒に決めて守れなければ作り直し、手に負えないときは精神保健福祉センターか保健所へ。そして、ゲーム以外の時間をつくるには家以外の居場所が近道になります。

保護者

ゲームを減らすことより、ゲーム以外の時間と場所をどう増やすかを考えてみます。ありがとうございました。

案内役

一日中ゲームをしている姿を見続けるのは、保護者にとって本当につらいことです。取り上げるかどうかの前に、まず一度、精神保健福祉センターや保健所に電話をして状況を話してみてください。相談することは、お子さんを問題視することではなく、ご自身が一人で抱えるのをやめることです。

この記事について

この記事は一般的な情報の提供を目的としています。出席扱いや公的支援などの制度は自治体・学校ごとに運用が異なるため、最終的な判断は在籍校・教育委員会・各施設への確認をお願いします。記事はAIによる下書きと機械チェックののち、公開前に人間が内容を確認しています(編集・レビュー方針)。

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