保護者向けガイド
不登校の子への声かけ|言ってはいけない言葉と言い換え
公開日: 2026-10-16 / 最終確認日: 2026-10-16
保護者中学1年の息子が学校に行かなくなって3週間になります。毎朝「今日はどうするの?」「なんで行けないの?」と聞いてしまい、そのたびに部屋にこもられてしまいます。何と声をかければいいのか、もうわからなくなりました。言ってはいけない言葉があるなら知りたいです。
案内役毎朝声をかけ続けてきたこと自体が、お子さんを気にかけている証拠です。そのうえで、声かけには「避けたほうがよい言葉」と「届きやすい言い方」がある程度はっきりしています。教育委員会が保護者向けに出しているリーフレットや文部科学省の資料に、同じ方向の考え方が繰り返し書かれているからです。この記事では、そうした公的な資料をもとに、避けたい言葉と言い換え、言ってしまった後の立て直し方、子どもが話さないときの待ち方、親自身の相談先の順にお話しします。
「なんで行けないの?」が届きにくい理由
保護者理由を聞くのはいけないことなんでしょうか。理由がわからないと、手の打ちようがない気がして。
案内役この節では、理由を聞く質問がなぜ届きにくいのかを、資料に書かれている子どもの側の状態から見ていきます。神奈川県教育委員会の保護者向けリーフレットは、不登校になっている本人でも、はっきりした原因はわからないことがあると書いています。多くの子が「なぜ登校できないか自分でもわからない」「行かなきゃいけないと頭では思うけど、体が動かない」状況にあり、心の中では不安や引け目、焦り、罪悪感などが渦巻いている、という説明です。
保護者本人もわからないんですね。
案内役はい。多摩市教育委員会が令和8年4月に出した保護者向けリーフレットも、保護者は「何か原因があるに違いない」と理由を追究してしまいがちだけれど、お子さん自身も分からず、言葉にするのが難しいことも多い、と書いています。そのうえで勧めているのは、子どもが理由を話すようになるのをじっと待つことです。答えられない質問を毎朝向けられると、子どもにとっては「答えられない自分」を毎朝確認させられることになりかねません。
保護者心配で聞いていたつもりが、責めているように聞こえていたかもしれません。
案内役そう感じる保護者は多いと思います。神奈川県のリーフレットは、不登校は「甘え」や「怠け」でも「弱いから」でもなく、どの子にも起こり得ることだとしたうえで、原因探しに固執せず、今の子どもの状態をそのまま受けとめることが大切だと書いています。理由を知りたい気持ちは自然なものなので、聞きたくなったら、それを子どもではなく担任やスクールカウンセラーとの相談の場に持っていくのが一つの方法です。
保護者同じ状況の家庭は、どのくらいあるのでしょう。
案内役文部科学省の令和7年10月29日の通知によると、令和6年度の小・中学校の不登校児童生徒数は約35万4千人で過去最多、高等学校でも約6万8千人でした。声かけに迷っている保護者は全国にたくさんいます。次の節で、具体的な言葉を見ていきましょう。
避けたい言葉と、言い換えの例

保護者具体的に、どんな言葉を避ければいいですか。
案内役この節では、資料に書かれている考え方を、毎日の言葉に置き換えてみます。新潟県村上市のホームページには、村上総合病院小児科の発達外来が監修した「不登校の子どもへの話しかけのヒント」が載っています。そこでは、責めない、比べない、強い励ましはしない、結論を急がない、否定せず受け入れてから問題を考える、悩みや苦しみに言葉で共感する、体調を尋ねる、といった点が挙げられています。強い励ましは逆に子どもを委縮させる、という説明も添えられています。
保護者「がんばれ」も避けたほうがいいんですか。励ましのつもりでした。
案内役励ましたい気持ちは大切です。ただ、子どもがすでに「行かなきゃいけないのに体が動かない」状態だとすると、「がんばれ」は「今の自分はがんばれていない」と受け取られることがあります。下の表は、資料の考え方をもとに編集部が作った言い換えの例です。決まった正解の言葉があるわけではないので、お子さんの様子に合わせて調整してください。
| 避けたい言葉の例 | 資料にある考え方 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 「なんで行けないの?」 | 理由は本人にもわからないことが多い。話すようになるのを待つ | 「今日はどんな感じ?」「体はしんどくない?」 |
| 「いつまで休むの?」「明日は行けるよね」 | 結論を急がない。すぐに決めなくていい | 「今は決めなくて大丈夫」 |
| 「怠けているだけでしょ」 | 不登校は甘えや怠けではない。責めない | 「しんどいんだね」 |
| 「〇〇ちゃんは行っているのに」 | 比べない。本人のペースを尊重する | 「あなたのペースでいいよ」 |
| 「がんばれ」「気合いで行けば大丈夫」 | 強い励ましは委縮させることがある | 「できることからでいいよ」 |
言い換えのコツ
言い換えの共通点は、子どもに「答え」や「約束」を求めず、今の状態を受けとめる言葉にしていることです。所沢市教育委員会の不登校相談・支援ガイド(令和7年4月発行)も、子どもの話をよく聞き、「できることからやってみよう」など温かい言葉で提案するよう勧めています。
保護者「明日は行けるよね」は、毎晩のように言っていました。
案内役先ほどの村上市の資料は、再登校の日取りはきちっと決めないほうがよい、とも書いています。日を決めてしまうと、それが守れなかったときに、子どもが自分で自分を「嘘つき」と責めることがある、という理由です。約束を取りつけたくなる場面ほど、「決めなくていいよ」と一度引くほうが、結果的に話しやすい関係を保てます。
保護者では、親の希望は言わないほうがいいのでしょうか。いつかは学校か、どこかに通ってほしいと思っています。
案内役希望を伝えること自体は否定されていません。同じ資料は「保護者の希望はきちんと伝える」とし、いつかは社会に戻ってほしいことは告げる、と書いています。避けたいのは、希望を毎日の催促や交換条件にしてしまうことです。落ち着いたタイミングで一度、「いつかあなたに合う場所が見つかったらうれしい。今は休んでいい」と、希望と今の受けとめをセットで伝える形が考えられます。
保護者言葉の候補はわかりました。でも、すでに何度も責めるようなことを言ってしまっています。
言ってしまった後の立て直し方
案内役この節では、責めるやり取りが続いてしまったときにどう立て直すかを考えます。最初にお伝えしたいのは、ここまでの言葉を一度も言わずに過ごせる保護者はほとんどいない、ということです。焦りや不安があれば、強い言葉が出てしまうのは自然なことです。大切なのは、言ってしまった後に関係を戻すことです。
保護者戻すには、何から始めればいいでしょう。
案内役資料の考え方をもとにすると、次の順番が一つの目安になります。
- 責める言葉が出たと気づいたら、その場で続けず、一呼吸おいて話を切り上げる
- 落ち着いてから短く伝える(例:「さっきは言いすぎた。責めたかったわけじゃない」)
- しばらくは学校の話題から離れ、体調や好きなことなど答えやすい話にとどめる
- 毎朝の「今日はどうするの?」をやめ、登校の連絡など必要なやり取りは親と学校で済ませる
- 自分が繰り返してしまうパターンを、担任やスクールカウンセラーとの相談で話題にする
保護者謝ったら、甘やかすことにならないでしょうか。
案内役謝ることは、休むことを許可することとは別です。多摩市のリーフレットは、子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、一呼吸を置いて、じっくりとお子さんの気持ちに寄り添うよう勧めています。言いすぎを認めるのは、その寄り添いの姿勢に戻るための区切りです。親が自分の言葉を振り返る姿は、子どもにとって「この人には話しても大丈夫かもしれない」と感じる材料にもなります。
保護者毎朝の声かけをやめると、何もしていないようで不安です。
案内役その不安はもっともです。毎朝聞かない代わりに、保護者が担任と連絡を取り合い、欠席の連絡や配布物の受け取りを親の側で引き受ける形にすると、子どもは朝の緊張から少し離れられます。文部科学省の令和元年10月25日の通知は、保護者と課題意識を共有して一緒に取り組む信頼関係をつくることや、保護者が気軽に相談できる体制を整えることが重要だとしています。学校とのやり取りの具体的な進め方は、不登校中の学校への連絡|担任とのやり取りの決め方でも扱っています。
保護者学校とのやり取りは親が引き受けるんですね。ただ、子どもが何も話してくれない状態が続いていて、それがいちばんつらいです。
子どもが話さないときの待ち方
案内役この節では、子どもが話さない時期をどう過ごすかをお話しします。「待つ」と言われても、何をすればいいのかわからないと感じる方が多いと思います。多摩市のリーフレットは、学校に通えていない時期を「心のエネルギーをチャージしている時期」と考えるよう勧め、「今はそういう時期なんだ」「少し休憩が必要な時期なんだ」と思って、子ども自身のつらさに寄り添うことが大切だとしています。
保護者休憩の時期、と考えるのですね。
案内役はい。国の考え方も同じ方向です。文部科学省の令和元年10月25日の通知は、不登校の支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、子どもが社会的に自立することを目指すとしています。そのうえで、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方、学業の遅れや進路選択上の不利益などのリスクにも留意するよう求めています。待つことは、何も見ないことではありません。
保護者待ちながら、親は何を見ていればいいのでしょう。
案内役所沢市のガイドは、家庭では食事や睡眠などの生活リズムを整えることが大切で、心や体の病気が疑われる場合は医療への相談も検討するよう案内しています。会話の中身よりも、食べているか、眠れているか、体調の訴えが続いていないかを見ておくのが、待つ時期の役割だと考えてください。声をかけるなら、村上市の資料にあるように体調を尋ねるくらいの短い言葉で十分です。
待つ時期に見ておきたいこと
食事と睡眠のリズム、頭痛や腹痛など体の訴えが続いていないか、好きなことに少しでも気持ちが向いているか。会話が少なくても、これらは日々の様子から見ることができます。体や心の不調が続く場合は、医療機関やスクールカウンセラーへの相談も選択肢に入れてください。
保護者いつになったら、学校の話をしてもいいのでしょうか。
案内役所沢市のガイドは、心が回復して外に興味を示したり、人と会っても疲れにくくなったりする時期について、再登校を急がず、学校の情報は興味のあることから少しずつ伝えていく、としています。登校に意欲がある場合は、学校と相談して、時間や場所、内容をお子さん自身に決めさせていくこと、スモールステップで自信を積み重ねることが大切だとも書いています。無理をさせず、学校以外の教育支援センターやその他の居場所から始めて、徐々に登校意欲を高めていく方法もある、とされています。
保護者学校以外の選択肢も、話題にしてよいのですね。
案内役はい。ただ、これも「どこかに行かせるため」の説得材料にすると、また催促になってしまいます。子どもが外に関心を示し始めたときに、「こういう場所もあるらしいよ」と情報を置いておく程度がちょうどよいと思います。フリースクールがどんな場所かはフリースクールとは、学校外の学びが出席として扱われる条件はフリースクールの出席扱いの条件にまとめています。学校外の施設で相談・指導を受けた日数は、一定の要件を満たす場合に校長が出席扱いとすることができる仕組みで、扱いは学校・教育委員会の判断になるため、在籍校との相談が前提です。
保護者少し見通しが持てました。ただ、正直なところ私自身がもう限界に近いです。
声かけに疲れたら、親も相談を
案内役この節では、保護者ご自身が相談できる先をお伝えします。声かけがうまくいかないとき、原因が言葉の選び方ではなく、保護者の疲れにあることも少なくありません。多摩市のリーフレットは、子どもが「学校に行きたくない」と思っていることを学校に相談するよう勧めていて、担任に相談しづらければ養護教諭や他の教員など相談しやすい人に、また学校にはスクールカウンセラーもいる、と書いています。
保護者担任以外に相談してもいいんですね。
案内役はい。文部科学省の保護者向けリーフレットも、不登校が続く場合などは、まず学校・教育委員会に相談するよう案内しています。教育委員会では、学校生活の悩みの相談や、学校内外の学びの場、相談機関の紹介を受けられます。夜間や休日に気持ちがあふれたときは、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)が使えます。子どもだけでなく保護者も相談でき、原則として電話をかけた地域の教育委員会の相談機関につながります。
家庭だけで抱えないでください
子どもが強い体調不良を訴え続ける、食事や睡眠がとれていない、自分を傷つけるような言葉が出るといった場合は、声かけの工夫だけで対応しようとせず、学校、教育委員会の相談窓口、医療機関に早めに相談してください。
保護者相談先はいくつもあるんですね。
案内役保護者向けの相談先は、不登校で親がつらいときの相談先でさらに詳しく紹介しています。休み始めた直後の全体的な対応は不登校の初期に親ができる対応が入り口になります。お子さんの居場所を探す段階になったら、フリースクール検索で地域の施設を確認し、見学のときに声かけの悩みを相談してみるのも一つの方法です。
保護者まず明日の朝は「今日はどうするの?」を言わずに、体調だけ聞いてみます。
案内役よい一歩だと思います。言えなかった日、また言ってしまった日があっても、そこからやり直せます。うまくいかなかった様子も含めて、学校やスクールカウンセラーに伝えてください。
よくある質問
保護者「学校に行きなさい」と一度も言わないほうがいいのでしょうか。
案内役一律に「言ってはいけない」と決める資料は確認できていません。ただ、教育委員会の保護者向けリーフレットは、原因探しに固執せず今の状態を受けとめること、再登校を急がないことを繰り返し勧めています。登校を促すかどうかの判断に迷うときは、お子さんの状態をよく知る担任やスクールカウンセラーと相談して決めるのが安心です。
保護者子どもが話しかけても返事をしません。それでも声はかけ続けたほうがいいですか。
案内役返事を求めない短い声かけを続けるのは一つの方法です。「おはよう」「ごはんできたよ」「体はどう?」のように、答えなくても困らない言葉なら、子どもにとっての負担は小さくなります。体調の訴えが続く場合や、食事や睡眠がとれていない場合は、学校や医療機関に相談してください。
保護者夫婦で声かけの方針が違います。どうすればいいでしょう。
案内役親同士で言葉が食い違うと、子どもはどちらに合わせればよいか迷いやすくなります。夫婦で考え方が分かれたときの話し合い方は不登校で夫婦の意見が合わないときで扱っています。スクールカウンセラーとの面談に二人で参加するのも一つの方法です。
この記事について
この記事は一般的な情報の提供を目的としています。出席扱いや公的支援などの制度は自治体・学校ごとに運用が異なるため、最終的な判断は在籍校・教育委員会・各施設への確認をお願いします。記事はAIによる下書きと機械チェックののち、公開前に人間が内容を確認しています(編集・レビュー方針)。
参考資料(一次情報)
- 子どもの気持ちを受け止め、支援する ~保護者のためのリーフレット~(多摩市教育委員会、令和8年4月)
- 保護者の皆様へ(不登校の考え方、子どもの感じ方、子どもへの接し方)(神奈川県教育委員会、令和3年11月)
- お子さんが「学校に行きたくない」と言ったら 不登校相談・支援ガイド(所沢市教育委員会・所沢市立教育センター教育相談室、令和7年4月発行)
- 発達外来 よろず相談室 ~不登校のお話(村上総合病院小児科発達外来 和田有子監修、新潟県村上市ホームページ掲載)
- 教育機会確保法の基本的な考え方をお伝えします!「教育機会確保法」って何?(保護者向けリーフレット)文部科学省
- 「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日(元文科初第698号):文部科学省
- 令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)令和7年10月29日:文部科学省
- 「24時間子供SOSダイヤル」について:文部科学省
- (別記1)義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて:文部科学省