保護者向けガイド
不登校で夫婦の意見が合わないとき|話し合いの進め方
公開日: 2026-09-05 / 最終確認日: 2026-09-05
保護者中学1年の子どもが2026年5月から学校に行けていません。私は「今は休ませたい」と思っているのですが、夫は「甘やかすと癖になる。朝は起こして送っていくべきだ」と言って譲りません。毎晩その話でけんかになって、子どもの前でも空気が悪くて。どちらが正しいんでしょうか。
案内役つらい状況ですね。最初にお伝えしたいのは、夫婦で意見が割れること自体は、どちらかが間違っているから起きるのではないということです。文部科学省が教育委員会向けに示している保護者用の情報提供様式には、保護者の悩みの例として「子どもに学校に行くよう働きかけてよいか」「学校に行かない理由を聞いてよいか」「家庭学習を続けるべきか」がそのまま並んでいます。国の資料に載るほど、多くの家庭が同じ問いで迷っているということです。
保護者私たちだけが特別にもめているわけではないんですね。
案内役そうです。石川県教育委員会の保護者向け支援ガイドによると、小・中・高等学校の不登校児童生徒数は令和6年の調査で約42万人にのぼります。しかも、最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけが「自分でもよく分からない」と答える子どもが2割以上いる、とも書かれています。原因がはっきりしないのですから、親の側で「こうすれば解決する」という答えが一つに決まらないのは自然なことです。この記事では、対立しやすい論点ごとに公的な資料が何と言っているかを確かめたうえで、二人で話し合いを進める手順と、フリースクール利用で意見が割れたときの考え方をお話しします。
「学校に戻す」か「休ませる」かで対立しているとき
保護者いちばんもめているのがそこです。夫は「学校に行かせることが親の責任だ」と言い、私は「無理をさせたら壊れてしまう」と思っています。どちらの考えが国の方針に近いんですか。
案内役実は、どちらの心配も文部科学省の通知に書かれています。令和元年10月25日の「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知では、不登校の子どもへの支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す必要がある、とされています。同時に、不登校の時期が休養や自分を見つめ直す積極的な意味を持つことがある一方で、学業の遅れや進路選択上の不利益、社会的自立へのリスクにも留意するように、とも書かれているんです。
保護者つまり、「休むことには意味がある」と「遅れは心配だ」の両方が、同じ通知に入っているんですね。
案内役そのとおりです。お父さんの「将来が心配だ」という気持ちも、お母さんの「今は休ませたい」という気持ちも、国の方針の中に両方とも居場所があります。違うのは方針ではなく、二人が見ている時間軸です。片方は数年先の進路を見て、もう片方は今日の子どもの様子を見ている。目標を「学校に戻すこと」から「子どもが社会的に自立すること」に置き直すと、二人の心配は対立ではなく、同じ目標を別の角度から見ているものになります。
文部科学省の通知が示す支援の視点
| 論点 | 通知の内容 |
|---|---|
| 支援の目標 | 「学校に登校する」という結果のみを目標にせず、社会的自立を目指す |
| 休むことの意味 | 不登校の時期が休養や自分を見つめ直す積極的な意味を持つことがある |
| 心配すべき点 | 学業の遅れ、進路選択上の不利益、社会的自立へのリスクに留意する |
保護者では、朝に無理やり起こして連れて行くのは、やめたほうがいいんでしょうか。
案内役そこは自治体の保護者向けガイドがかなりはっきり書いています。石川県教育委員会の支援ガイドでは、学校に行けない子どもへの接し方として、エネルギーの回復のためにまずゆっくり休むことが必要で、本人を問い詰めても改善にはつながらず、無理に連れ出そうとするのはむしろ逆効果となることが多い、と説明しています。一方で、「休ませる」側が気にしがちな点にも答えていて、自宅の居心地が良すぎるからといって学校に行けない状況が長引くことはない、とも書かれています。
保護者「甘やかすと癖になる」という夫の心配には、公的な資料が「そうではない」と答えているんですね。
案内役少なくともこのガイドはそう説明しています。ただし、これは「放っておいてよい」という意味ではありません。同じガイドは、親の期待や理想が子どもへのお仕着せになることは良くないとする一方で、子どもが好きなことややりたいことを見つける手助けをするよう勧めています。休ませることと関わり続けることは両立します。夫婦のどちらかが「休ませる」担当、どちらかが「関わる」担当になっていると、それぞれが相手の役割を否定しているように見えてしまうだけなんです。
医療的な判断が必要なときは別です
頭痛や腹痛が続く、眠れない日が続く、食事がとれないなど体の不調が長引いている場合は、家庭内の話し合いより先に、かかりつけ医や小児科・児童精神科への相談を優先してください。この記事は制度と話し合いの進め方を扱うもので、体調の判断はできません。
保護者方針の違いというより、見ている時間軸と役割の違いだったんですね。では、その話をどうやって夫と共有すればいいでしょうか。
話し合いを前に進める3つの手順

案内役順番が大事です。いきなり「どうするか」を決めようとすると、また「戻す」「休ませる」の対立に戻ってしまいます。おすすめは、事実と心配を分けて並べる、目標をそろえる、第三者に二人で聞く、の3段階で進めることです。
- 事実と心配を分けて書き出す(例:「5月から欠席が続いている」は事実、「このまま高校に行けないのでは」は心配)
- 目標を「学校に戻すこと」ではなく「子どもが社会的に自立すること」に置き直し、二人でその言葉に同意する
- 学校のスクールカウンセラーや教育相談窓口に、二人そろって同じ話を聞きに行く
保護者1つめの「事実と心配を分ける」は、どうして必要なんですか。
案内役けんかの多くは、心配を事実のように言い合うことから始まるからです。「このままだと一生ひきこもる」は心配であって事実ではありませんし、「休ませれば自然に戻る」も同じです。紙に「事実」と「心配」の2列を作って、それぞれの言い分をどちらかに置いていくと、二人の心配が実は似ていることが見えてきます。多くの場合、共通しているのは「この子の将来が心配だ」という一点です。
保護者2つめの「目標をそろえる」は、さっきの通知の話ですね。
案内役はい。ここで文部科学省の通知の言葉をそのまま使うのがコツです。「登校が目標ではなく社会的自立が目標だと国が言っている」と伝えると、どちらかの個人的な意見ではなくなるので、相手も受け取りやすくなります。通知は家庭への支援についても触れていて、学校が保護者と課題意識を共有して一緒に取り組む信頼関係をつくることや、保護者が気軽に相談できる体制を整えることが重要だとしています。夫婦の間でも同じで、まず課題意識をそろえることが先で、方法の話はその後です。
保護者3つめの「二人で聞きに行く」は、正直ハードルが高いです。夫は「学校に相談するのは母親の仕事だ」という感じで。
案内役そのお気持ちはよくわかります。ただ、ここが最も効く手順でもあります。同じ通知では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによるアセスメント、つまり子どもの状態の見立てが有効で、その見立てにもとづく支援計画を学校・保護者・関係機関で共有することが重要だとされています。片方の親だけが聞いてきた話を家で伝え直すと、どうしても伝えた側の解釈が混ざります。二人で同じ場にいて、同じ専門家から同じ見立てを聞くと、家庭内で「聞いた」「聞いてない」の争いがなくなります。
保護者私の言葉だと「またお前の意見だろう」で終わるけれど、専門家の言葉なら聞いてくれるかもしれません。
案内役そういう家庭は少なくありません。石川県のガイドも、専門家も含めていろいろな人の力を借りること、誰かとの対話を「変化のチャンス」と捉えることを保護者に勧めています。面談の予約をするときに「夫婦で伺いたい」と一言添えれば、学校側も日時を調整してくれることが多いです。平日が難しければ、自治体の教育相談窓口の受付時間は地域によって異なるので、お住まいの窓口に相談できる曜日・時間を確認してみてください。相談先の探し方は不登校で親がつらいときの相談先にまとめてあります。
保護者わかりました。話し合いの順番は見えてきました。もう一つ、フリースクールのことでも意見が割れているんです。
フリースクールの利用で意見が割れているとき
案内役これもよくある論点です。「学校に戻れなくなる」「学校でない場所に通わせるのは逃げだ」という反対と、「今の子どもに合う場所があるなら使いたい」という希望がぶつかるパターンですね。ここでも公的な位置づけから確かめましょう。文部科学省の令和元年の通知は、不登校の子ども一人一人の状況に応じて、教育支援センター、不登校特例校、フリースクールなどの民間施設、ICTを活用した学習支援など、多様な教育機会を確保する必要があるとしています。フリースクールは国の通知に名前が出る選択肢の一つであって、学校からの「逃げ」として扱われているわけではありません。
保護者夫が特に気にしているのは、「フリースクールに行ったら学校の出席にならないだろう」という点です。
案内役そこは制度を正確に伝えると議論が落ち着きやすい部分です。学校外の施設で相談や指導を受けた日数を指導要録上の出席扱いにするかどうかは、在籍校の校長が判断します。文部科学省が示す要件の一つは、保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていることです。つまり、フリースクールに通うことと学校とのつながりを保つことは、対立するどころか、出席扱いの前提として同時に求められています。「学校を捨てる話」ではなく「学校と一緒に進める話」だと伝えられるかどうかで、反対する側の受け取り方が変わります。
保護者出席扱いになるかどうかは、通う前に決まるものなんですか。
案内役事前に約束されるものではありません。要件では、出席扱いの対象は教育委員会が設置する教育支援センターなどの公的機関が基本で、公的機関での指導の機会が得られない、または通うことが困難な場合に、本人や保護者の希望もあり適切と判断されるときは民間施設も考慮されてよい、とされています。そして民間施設が適切かどうかは、校長が教育委員会と連携して判断します。学校や自治体によって運用が異なるので、出席扱いになると約束できるものではありません。詳しい流れはフリースクールの出席扱いの条件で説明しています。まず在籍校に「この施設に通う場合、出席扱いの可能性はあるか」と聞くことから始めてください。
出席扱いをめぐる夫婦の論点と、確認先
| 反対する側の心配 | 制度上の位置づけ | 確認先 |
|---|---|---|
| 学校に戻れなくなる | 通知は多様な教育機会の確保を求めており、フリースクールもその一つ | 在籍校・教育委員会 |
| 出席にならない | 校長が判断。保護者と学校の連携が要件の一つ | 在籍校の校長・担任 |
| 民間施設は信用できない | 文部科学省が民間施設ガイドライン(試案)で目安を示している | 見学時に施設へ質問 |
保護者最後の「民間施設は信用できない」というのも、夫がよく言います。どう確かめればいいですか。
案内役文部科学省の民間施設ガイドライン(試案)が、保護者・学校・教育委員会が留意すべき目安を示しています。たとえば、著しく営利本位でなく入会金や授業料などが明確にされて保護者に情報提供されていること、施設での指導経過を保護者に定期的に連絡するなど家庭との連携・協力関係が保たれていること、学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること、といった点です。これは施設を評価する基準というより、見学のときに質問する項目として使えます。反対している側にこそ見学に同行してもらい、この項目を本人の口から施設に聞いてもらうのが一番です。
保護者夫が自分で質問して自分で納得する、という形ですね。
案内役そうです。片方が集めた情報を家で説明するより、同じ場で同じ答えを聞くほうが早く合意に近づきます。見学で確認したい項目はフリースクールの見学チェックリストに、費用の考え方はフリースクールの費用にまとめてあります。公的な教育支援センターとの違いが論点なら、教育支援センターとフリースクールの違いも参考になります。施設を探すときはトップページの検索から都道府県で絞り込めます。
保護者手順もフリースクールの論点もわかりました。ただ、こうして動いているのがずっと私一人で、正直もう疲れています。
一人で抱えている側の負担を軽くする
案内役その疲れは、話し合いの中身と同じくらい大切な問題です。夫婦で意見が合わないとき、実際に学校とやり取りし、資料を集め、子どものそばにいるのが片方の親に偏っていることが多いからです。文部科学省は令和5年7月31日の事務連絡で、不登校の子どもの保護者が悩みを抱えて孤立しないよう、教育委員会に対して、地域の教育支援センターや相談機関、保護者の会、フリースクールなどの情報を整理して保護者に提供するよう求めています。保護者が一人で情報を探し回らなくてよい体制を、国が自治体に求めているということです。
保護者保護者の会というのは、夫婦で意見が合わないことも話せる場なんでしょうか。
案内役親の会の多くは、同じ立場の保護者が経験を持ち寄る場です。「夫が理解してくれない」「妻が過保護に見える」という話題は、そうした場で珍しくありません。同じ経験をした保護者から「うちはこうやって夫を面談に連れ出した」という具体的な話を聞けるのは、公的な相談窓口とは違う価値です。文部科学大臣も令和6年11月の保護者向けメッセージで、学校に行けない子どもを支えている家族も支えられるよう取り組むと述べています。支える側が支えられることは、制度の外の話ではありません。
保護者夫がどうしても話し合いに応じてくれない場合は、どうしたらいいでしょう。
案内役無理に説得しようとしないことをおすすめします。代わりに、この記事で触れた文部科学省の通知や自治体のガイドのような公的な資料を「読んでおいてほしい」と渡す、学校の面談に「一度だけ同席してほしい」と頼む、見学に「付き添いだけでいいから来てほしい」と誘う、というように、相手が動く一歩を小さくしてください。一度に全部の考えを変えてもらう必要はありません。それでも動かないときは、スクールカウンセラーや教育相談窓口に「配偶者と意見が合わない」ことそのものを相談してかまいません。夫婦や家族で考えが分かれているという相談は、珍しいものではありません。
保護者「意見が合わないこと」自体を相談していいんですね。
案内役はい。子どもの初動で迷っているなら不登校の初期に親ができる対応も一緒に読んでみてください。夫婦の足並みが完全にそろわなくても、目標を「子どもの社会的自立」に置き直し、専門家の見立てを二人で聞き、施設は二人で見学する。この3つができれば、家庭の中で子どもが板挟みになる時間を減らせます。正解を先に決めるのではなく、同じ情報を二人で見る状態をつくることが、話し合いの出発点です。
この記事について
この記事は一般的な情報の提供を目的としています。出席扱いや公的支援などの制度は自治体・学校ごとに運用が異なるため、最終的な判断は在籍校・教育委員会・各施設への確認をお願いします。記事はAIによる下書きと機械チェックののち、公開前に人間が内容を確認しています(編集・レビュー方針)。