保護者向けガイド
不登校のきょうだいへの影響と対応
公開日: 2026-09-09 / 最終確認日: 2026-09-09
保護者中学2年の長男が2026年4月から学校に行けていません。それは受け止めたつもりだったのですが、小学5年の妹が「お兄ちゃんだけずるい」「私も休みたい」と言い出しました。朝の支度も前より渋ります。妹にはなんと答えればいいのでしょうか。
案内役その一言に、親のほうがぐらつきますよね。先にお伝えしたいのは、妹さんの「ずるい」は、わがままではなく状況への正直な反応だということです。家の中で何かが変わったのに、その理由が自分にははっきり説明されていない。子どもはそういうとき、いちばん目に見える差、つまり「行く/行かない」を手がかりにして気持ちを言葉にします。この記事では、きょうだいに出やすい変化、家庭での答え方、学校への配慮の頼み方、そして家族全体の時間割を変える選択肢としてのフリースクールを順にお話しします。
保護者わがままだと思って叱ってしまいました。
案内役多くのご家庭が通る道です。ここでひとつ、事実として知っておいていただきたいことがあります。文部科学省が2025年(令和7年)10月29日付で出した通知によると、令和6年度の小・中学校の不登校児童生徒数は約35万4千人で過去最多、高等学校でも約6万8千人でした。同じ通知は、不登校は取り巻く環境によってはどの児童生徒にも起こり得るものとして捉え、不登校というだけで問題行動であると受け取られないような配慮が必要だとしています。お兄さんの状態は「ずるいこと」でも「悪いこと」でもない、というのが国の示している前提です。この前提を家の中で共有できると、妹さんへの答え方も変わってきます。
「ずるい」と言われたときに、まず何を答えるか

保護者とはいえ、実際にはどう言えばいいのでしょう。「お兄ちゃんは具合が悪いんだから我慢して」では納得しない気がします。
案内役おっしゃるとおりで、その説明は「あなたの気持ちは後回し」と伝わってしまいます。順番としては、否定せずに受け取る、事実だけを短く伝える、妹さん自身の話に戻す、の3つを分けるとうまくいきやすいです。「ずるいって思ったんだね」と受け取ることと、「じゃあ休んでいいよ」と許可することは別のことなので、そこは切り分けて大丈夫です。
- 気持ちを受け取る(例:「ずるいって思ったんだね。そう感じるのは変じゃないよ」)
- 事実を短く伝える(例:「お兄ちゃんは今、学校に行くのがしんどい時期。ずるをしているわけじゃない」)
- 本人の話に戻す(例:「あなたは今、学校でしんどいことある? あったら教えてほしい」)
保護者3つめが抜けていました。つい兄の説明ばかりしていました。
案内役そこがいちばん大事なところです。「ずるい」は不公平への抗議に見えて、実は「私のことも見て」という合図であることが少なくありません。3つめの問いかけをしたときに、妹さん自身の学校のつらさが出てくることもあります。その場合は、兄の話と切り離して、妹さんの困りごととして担任やスクールカウンセラーに相談してください。石川県教育委員会の保護者向け支援ガイドも、子どもを問い詰めても改善にはつながらず、無理に連れ出そうとするのはむしろ逆効果となることが多いと説明しています。これは不登校の子だけでなく、行き渋りが出はじめた子にも当てはまる考え方です。
体の不調が続いているときは相談を優先してください
きょうだいのほうに頭痛・腹痛・不眠・食欲低下などが続いている場合は、家庭内の説明より先に、かかりつけ医や学校の養護教諭・スクールカウンセラーへの相談を優先してください。この記事は制度と家庭での関わり方を扱うもので、体調の判断はできません。
保護者受け取り方はわかりました。ただ、妹に何が起きているのか、私が気づけていない気もします。
登校しているきょうだいに出やすい変化
案内役きょうだいの変化は、はっきりした訴えではなく生活のすき間に出ることが多いです。よく聞くのは、急に「いい子」になる、逆に理由の見えないかんしゃくが増える、友達に兄姉のことを聞かれるのを避ける、家の話題を学校でしなくなる、といったものです。どれも本人が言葉にしていないだけで、家の空気を読んで役割を引き受けている状態だと考えられます。
保護者「いい子」になるのは、いいことではないんですね。
案内役それ自体が悪いわけではありませんが、無理をしているサインのこともあります。文部科学省の令和元年10月25日の通知は、不登校の要因・背景によっては家庭の状況を正確に把握したうえで、家庭と学校、関係機関が連携することが不可欠だとしています。つまり、見るべき対象は不登校の子ども一人ではなく、家庭全体だという立て付けです。きょうだいの様子も、その「家庭の状況」に含めて学校と共有してよいものです。
きょうだいに出やすい変化と、家庭でできること
| 見えやすい変化 | 背景にありやすい気持ち | 家庭でできること |
|---|---|---|
| 急に手がかからなくなる | 心配をかけたくない/親を困らせたくない | 「助かる」で終わらせず「我慢してない?」と聞き返す |
| かんしゃく・八つ当たりが増える | 順番が後回しにされている感覚 | 短くても本人だけの時間を予定に入れる |
| 兄姉の話題を避ける | 学校で聞かれるのがつらい | 学校でどう答えるか、一緒に言い方を決めておく |
| 「私も休みたい」が続く | 本人自身の学校のしんどさ | 兄姉と切り離して担任・SCに相談する |
保護者学校で聞かれたときの答え方まで用意するとは思いつきませんでした。
案内役きょうだいにとって、これは毎日起こる現実的な負担です。「お兄ちゃん、どうしたの」と友達に聞かれたとき、本人が使える短い言い回しを一緒に決めておくと、その場で困らずにすみます。「ちょっと休んでる」「元気だよ」でも十分です。言いたくないときは言わなくていい、という許可も一緒に渡してください。
保護者家の中でできることは見えてきました。学校側にお願いできることもあるのでしょうか。
きょうだいの学校にも配慮をお願いできる
案内役できます。しかも、これは特別なお願いではありません。文部科学省の2025年(令和7年)10月29日付通知は、不登校ではない児童生徒も含めた全ての児童生徒の保護者に対して、児童生徒が不登校となった場合の相談支援に関する情報提供に努めることを教育委員会等に求めています。きょうだい側の学校も、この対象の中に入っています。相談の入り口として使えると考えてください。
保護者具体的には、誰に何を伝えればいいですか。
案内役妹さんの担任と、その学校のスクールカウンセラーです。教育機会確保法にもとづく基本指針は、教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、関係機関が連携し、不登校等に対して早期からの支援を行うことができる教育相談体制の構築を促進するとしています。学校側は「家庭の事情がある子」として見守る準備を持っています。伝える内容は、事情の詳細ではなく、学校生活で起きうる場面に絞ると受け取ってもらいやすいです。
きょうだいの担任・スクールカウンセラーに伝えるとよいこと
| 伝えること | 具体的な言い方の例 |
|---|---|
| 家庭の状況(概略のみ) | 「兄が2026年4月から登校できておらず、家庭が落ち着かない時期です」 |
| 起こりうる影響 | 「妹が朝の支度を渋る日があります。遅刻の可能性があります」 |
| 学校でしてほしい配慮 | 「兄のことを学級で話題にしない形で見守っていただけると助かります」 |
| 相談したい相手 | 「本人が話したくなったとき、スクールカウンセラーにつないでいただけますか」 |
保護者「見守ってください」だけでは伝わらないと思っていました。
案内役場面を挙げるのがコツです。文部科学省のCOCOLOプラン(令和5年3月31日)も、保護者が一人で悩みを抱え込まないよう相談窓口を整備し、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが保護者を支援するとしています。相談してよい体制はすでに用意されていて、あとは家庭の側が使うかどうかです。親御さん自身の相談先は不登校で親がつらいときの相談先に、夫婦で方針が割れているときの進め方は不登校で夫婦の意見が合わないときにまとめてあります。
保護者妹自身が誰かに話したいと思ったときは、どこに頼ればいいでしょう。
きょうだい本人が相談できる窓口
案内役親を通さずに本人が使える窓口があります。石川県教育委員会の支援ガイドによると、24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)は、いじめや不登校など児童生徒が発するSOS全般を受け止める夜間・休日を含む24時間体制の窓口で、対象は児童生徒本人と保護者、相談時間は24時間365日です。
保護者不登校の本人ではなくても、かけていいんですね。
案内役対象は「児童生徒本人」なので、きょうだいの側からかけても問題ありません。番号を冷蔵庫に貼っておく、本人の端末に登録しておく、といった渡し方をしているご家庭もあります。親に言いにくいことがあるのは自然なことなので、「親以外にも話せる先がある」と知らせておくこと自体に意味があります。
保護者学校のスクールカウンセラーと、どう使い分ければいいですか。
案内役学校での困りごとが中心なら、まずは在籍校のスクールカウンセラーです。予約が先になる、あるいは学校の人には話しにくいというときに、電話の窓口が補いになります。石川県のガイドは、専門家も含めていろいろな人の力を借りることを保護者に勧めていて、これはきょうだい本人にもそのまま当てはまります。
きょうだい本人・保護者が使える主な窓口
| 窓口 | 対象 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 在籍校のスクールカウンセラー | 児童生徒・保護者 | 学校生活での困りごと、継続的な相談 |
| 24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310) | 児童生徒本人・保護者 | 夜間・休日、学校の人に話しにくいとき |
| 市区町村・都道府県の教育相談窓口 | 児童生徒・保護者 | 進路や制度の相談、来所相談 |
| 教育支援センター | 不登校の児童生徒・保護者 | 通う場の相談、保護者の相談支援 |
保護者教育支援センターは、不登校の本人だけの場所だと思っていました。
案内役通う対象は不登校の児童生徒ですが、2025年(令和7年)10月29日付の文部科学省通知は、教育支援センターについて、家から出ることができない不登校児童生徒へのアウトリーチ支援や、不登校児童生徒の保護者に対する相談支援等の機能を強化し、地域の支援拠点として整備することが望まれるとしています。保護者の相談先としても位置づけられています。窓口の受付曜日・時間は自治体ごとに異なるので、お住まいの教育委員会にご確認ください。
保護者相談先はわかりました。ただ、根っこにあるのは「家にずっと兄がいる」という状況そのものだとも感じています。
平日昼の居場所が、家族の時間割を変えることがある
案内役そこに気づかれたのは大きいと思います。きょうだいの負担の多くは、気持ちの問題であると同時に時間と場所の問題です。平日の昼に家がずっと「兄の場所」になっていると、妹さんが帰宅してから使える時間や空間が削られます。フリースクールなどの通える居場所ができると、家の時間割そのものが変わることがあります。
保護者兄のために通わせる場所だと思っていました。妹のためでもあるんですね。
案内役両方にかかわります。文部科学省の令和元年10月25日の通知は、不登校児童生徒一人一人の状況に応じて、教育支援センター、不登校特例校、フリースクールなどの民間施設、ICTを活用した学習支援など、多様な教育機会を確保する必要があるとしています。国が想定している選択肢のひとつで、例外的な手段ではありません。ただし、通う本人の意思が置き去りになると続きません。石川県のガイドも、子どもが好きなこと・やりたいことを見つける手助けをするよう勧める一方で、親の期待や理想、満たされなかった願いが子どもへのお仕着せになることは良くないとしています。「妹のために兄を出す」という順番で決めると、たいてい長続きしません。
保護者兄が納得することが先で、結果としてみんなが楽になる、という順番ですね。
案内役そのとおりです。実際の見学や体験の進め方はフリースクールとは何か、費用の考え方はフリースクールの費用、通う日の過ごし方はフリースクールの1日の流れにまとめています。
保護者通った日が学校の出席になる、という話も聞きました。それも家の空気に関係しそうです。
案内役関係します。学校外の施設で相談・指導を受けた日数を指導要録上の出席扱いとするかどうかは、校長が判断するしくみです。要件のひとつとして、保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていることが挙げられています。対象施設は教育支援センター等の公的機関が基本ですが、公的機関での指導の機会が得られない、または通うことが困難な場合で、本人や保護者の希望もあり適切と判断される場合は、民間の相談・指導施設も考慮されてよいとされています。その適否は、校長が設置者である教育委員会と十分な連携をとって判断します。
保護者通えば自動的に出席になるわけではないんですね。
案内役判断するのは在籍校の校長と教育委員会で、運用は学校・自治体ごとに異なります。通っただけで出席扱いが決まるわけではないので、検討の段階で必ず在籍校に確認してください。手続きの流れはフリースクールと出席扱いで詳しく扱っています。教育機会確保法にもとづく基本指針も、不登校児童生徒の保護者に対し、支援を行う機関や保護者の会などの情報提供を促すほか、指導要録上の出席扱いや通学定期乗車券の取扱い制度等の周知を徹底するとしています。学校に聞くこと自体は、想定された行為です。
保護者家の中の話だと思っていたことが、学校にも相談できることだと分かってきました。
きょうだいだけの時間を、短くても定期的につくる
案内役最後に、いちばん地味で効きやすいものをお伝えします。きょうだいと二人だけで過ごす時間を、短くていいので予定として決めてしまうことです。日曜の朝に一緒に買い物へ行く、寝る前の10分だけ本人の部屋で話す、といった単位で構いません。大事なのは長さではなく、予定表に載っていることです。
保護者「時間があるときに」ではだめでしょうか。
案内役不登校の対応が続く時期は、突発的な出来事で予定が押されがちです。「時間があるとき」は実際にはなかなか来ません。曜日と場面を決めておけば、その日は妹さんが「私の番がある」と分かって過ごせます。こども家庭庁は、令和6年度の小・中学校における不登校児童生徒数が約35.4万人で12年連続の増加、過去最多になったとしています。これだけの家庭が同じ時期を通っていて、家族の時間の配分に悩むこと自体は珍しくありません。
保護者特別なことをしなくてもいいんですね。
案内役特別なことはむしろ続きません。文部科学省の令和元年10月25日の通知は、保護者と課題意識を共有して一緒に取り組む信頼関係をつくることや、保護者が気軽に相談できる体制を整えることが重要だとしています。これは学校と家庭の関係についての文言ですが、家庭ときょうだいの関係にも読み替えられます。妹さんを「守る対象」ではなく「一緒に状況を分かっているメンバー」として扱うと、「ずるい」は少しずつ別の言葉に変わっていきます。
保護者まず妹の担任に連絡して、日曜の朝を二人の時間にしてみます。
案内役よい入り口だと思います。うまくいかない日があっても、それはやり方が間違っていたからではありません。うまくいかなかった様子も含めて、スクールカウンセラーや教育相談窓口に伝えてください。家庭だけで抱える必要のない話です。
よくある質問
保護者兄が不登校だと、妹も不登校になりやすいのでしょうか。
案内役「きょうだいだから連鎖する」と言い切れる公的なデータは確認できていません。文部科学省の2025年(令和7年)10月29日付通知は、不登校を取り巻く環境によってはどの児童生徒にも起こり得るものとして捉えるべきだとしていて、原因を家族の誰かに帰する見方はとっていません。妹さんに行き渋りが出た場合は、兄の影響と決めつけず、妹さん自身の学校生活の困りごととして担任やスクールカウンセラーに相談してください。
保護者妹に「お兄ちゃんのことは学校で言わないで」と口止めするのは良くないですか。
案内役口止めは本人に負担がかかりやすい頼み方です。言わない選択も、言う選択も本人が選べるようにしたうえで、聞かれたときに使える短い返事を一緒に用意しておくほうが現実的です。担任には保護者から先に伝えておくと、本人が説明役を背負わずにすみます。
保護者妹の前で、兄の不登校の話をしてもいいのでしょうか。
案内役事実の共有と、評価や愚痴は分けてください。「お兄ちゃんは今しんどい時期で、こういう相談をしている」という事実は、妹さんが状況を理解する助けになります。一方で、兄への不満や将来の不安をきょうだいに聞かせ続けると、本人が調整役を引き受けてしまうことがあります。その部分はスクールカウンセラーや教育相談窓口など、大人の相談先に向けてください。
保護者きょうだいのことも、フリースクールに相談していいですか。
案内役見学や面談の場で家庭の状況を伝えるのは自然なことです。施設によって対応できる範囲は違うので、家族全体の相談に乗ってもらえるかは、見学の際に確認しておくと安心です。制度の判断が必要な部分は、在籍校と教育委員会が窓口になります。
この記事について
この記事は一般的な情報の提供を目的としています。出席扱いや公的支援などの制度は自治体・学校ごとに運用が異なるため、最終的な判断は在籍校・教育委員会・各施設への確認をお願いします。記事はAIによる下書きと機械チェックののち、公開前に人間が内容を確認しています(編集・レビュー方針)。
参考資料(一次情報)
- 「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日:文部科学省
- 令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)令和7年10月29日:文部科学省
- 【参考資料1-1】誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策「COCOLOプラン」(概要):文部科学省
- 不登校児童生徒の保護者のための支援ガイド(第4版):石川県教育委員会
- 義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて:文部科学省
- こども家庭庁における不登校対策|こども家庭庁
- 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針(平成29年3月31日):文部科学省