保護者向けガイド

不登校で転校すべき?判断の目安と手続きの流れ

公開日: 2026-09-11 / 最終確認日: 2026-09-11

保護者

中学1年の子どもが夏休み明けから学校に行けなくなりました。本人は「あの学校じゃなければ行ける気がする」と言っていて、転校させるべきか迷っています。学校を変えれば本当に解決するのか、それとも場所を変えても同じことの繰り返しになるのか、判断のしかたが分かりません。

案内役

転校は「今の学校がつらい」という子どもの気持ちに応える現実的な選択肢のひとつです。ただ、転校で状況が変わりやすいケースと、そうでないケースがあります。この記事では、その見分け方の目安、転校の仕組みである指定校変更と区域外就学、相談と手続きの順番、そして転校以外に並べて考えたい選択肢の順にお話しします。なお、転校を認めるかどうかは各市区町村の教育委員会が判断するもので、この記事はその判断を保証するものではありません。

保護者

まず、転校で変わりやすいかどうかは、どこを見ればいいのでしょうか。

転校で状況が変わりやすいケース・変わりにくいケース

案内役

出発点は「なぜ行けなくなったのか」の見立てです。文部科学省の令和元年10月25日付けの通知は、不登校となった要因を的確に把握し、一人ひとりに応じた支援策をつくることが重要だと示しています。同じ通知は、要因の把握には担任の視点だけでなく、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによるアセスメント(見立て)が有効だとも書いています。転校の判断も、この見立てを土台にするのが順序です。

保護者

要因によって、転校が向くかどうかが分かれるということですか。

案内役

そう考えると整理しやすくなります。国の通知は、いじめが原因で不登校になっている場合、いじめられた子どもや保護者が希望すれば、柔軟に学級替えや転校の措置を活用することが考えられると明記しています。教員の体罰や暴言など不適切な言動・指導が原因の場合も、学級替えを柔軟に認め、転校の相談に応じることが望まれるとしています。つまり「その学校の特定の人や環境」が要因としてはっきりしている場合は、環境を変えること自体が国の示す対応の範囲内です。

保護者

うちの場合、特定のいじめがあったわけではなさそうです。そういうときは?

案内役

人間関係の行き違いが積み重なって居場所を失った、というケースでは、転校で顔ぶれが変わることが本人の助けになることもあります。一方で、朝起きられない、体調不良が続く、学習のつまずきが大きい、集団そのものが苦手といった要因が中心のときは、学校が変わってもその要因は一緒についていきます。この場合は転校を先に決めるより、生活や学習、体調の面の支援を先に整える方が筋がよいことが多いです。医療的な判断は医療機関の領域なので、体の不調が続くならそちらへの相談も並行してください。

保護者

場所の問題なのか、本人の中で起きていることなのか、ということですね。

案内役

その二つが重なっていることも多いので、どちらかに決めつけず、学校の先生やカウンセラーと一緒に見立てるのが現実的です。文部科学省の事例集に載っている静岡市の例では、教育委員会が保護者と本人に対して、転校には通学時間が延びること、勉強や人間関係に時間的な空白ができること、経済的な負担があること、もし失敗したら戻るところがなくなることを説明した上で、それでも希望が強かったため転校を認めています。転校を検討するときは、この「戻る場所がなくなるリスク」まで含めて考えておきたいところです。

転校を考えるときの見立ての目安

  • 要因が「その学校の特定の人・環境」にある(いじめ、教員との関係など)→ 環境を変える選択肢が国の通知でも示されている
  • 要因が「本人の体調・生活リズム・学習・集団への苦手さ」にある → 転校しても要因は続きやすく、先に支援を整える方が筋がよい
  • 両方が重なっていることも多い。担任やスクールカウンセラーと一緒に見立てる
  • 転校には通学時間・学習や人間関係の空白・費用・戻る場所を失うリスクが伴う
保護者

見立てのしかたは分かりました。転校したいとなったとき、そもそもどういう仕組みで学校を変えられるのですか。

転校の仕組み:指定校変更と区域外就学

案内役

公立の小中学校は、住所をもとに市区町村の教育委員会が通う学校を指定します。この指定を変えるのが「指定校変更」で、同じ市区町村内の別の学校に移る手続きです。文部科学省の就学事務Q&Aによると、教育委員会は、いじめへの対応、通学の利便性、部活動などを理由とする場合のほか、相当と認めるときは、保護者の申立てにより指定校を変更できます。学年の途中で保護者が転校を求めた場合も、教育委員会が相当と認めれば変更できるとされています。

保護者

隣の市の学校に通わせたい場合はどうなりますか。

案内役

それは「区域外就学」という別の手続きになります。住んでいる市区町村の教育委員会と相手側の教育委員会が協議し、相手側が受け入れを承諾した場合に学校を変えられる仕組みです。もうひとつ、引っ越しをして住所そのものを変える転校もあります。この場合は新しい住所の指定校に移るので、就学指定校の変更手続きは基本的に不要ですが、家族の生活全体が変わる大きな決断になります。

方法内容決める人
指定校変更同じ市区町村内の別の学校に指定を変える住所地の市区町村教育委員会
区域外就学別の市区町村の学校に通う住所地と相手側の教育委員会の協議・承諾
転居を伴う転校引っ越して新しい住所の指定校に移る住所が変われば指定校も変わる
保護者

不登校を理由にした指定校変更は、どこの自治体でも認められるのでしょうか。

案内役

認められるかどうかも、条件も、自治体ごとに違います。文部科学省のQ&Aは、各市区町村の教育委員会が指定校変更の要件と手続きを定めて公表しておく必要があるとしています。たとえば東京都北区は、いじめやいじめが原因の不登校などで指定校への通学が難しい場合、学校や関係機関への状況確認で「指定校変更により解消される見込みがある」と認められれば、住所地から直線距離で最も近い学校への変更を認めるとしています。埼玉県日高市の許可基準には「教育的な配慮」として「いじめ・不登校等の場合」が挙げられ、必要書類は学校長の所見とされています。

保護者

「解消される見込み」を審査されるのですね。

案内役

そうです。文部科学省の事例集に載っている静岡市の要綱でも、不登校の状態が続いている場合に「転入学することにより不登校が解消されると見込まれる場合」に校長の副申書を添えるとされ、教育委員会が保護者の申立てと校長の副申をもとに実情を調査して可否を決めています。ですから「転校すれば解消されそうだ」と学校側も見立てていることが、審査の実質的な材料になります。前の節の見立てが、ここでそのまま生きてきます。

転校の可否は教育委員会の判断です

  • 北区のように「申請しても認められない場合がある」「受け入れ可能数を超える学校では抽選になる場合がある」と明記している自治体があります
  • 日高市のように「状況から判断し、許可できない場合もあるので、まず教育委員会に相談を」と案内している自治体があります
  • 条件や必要書類は自治体ごとに異なります。「お住まいの自治体名+指定校変更」で公開基準を確認し、教育委員会の就学担当窓口に問い合わせてください
保護者

仕組みはわかりました。実際には、誰にどの順番で相談して進めればいいですか。

相談と手続きの順番

不登校で転校を考えるときの相談と手続きの3段階。1に学校で相談・見立て(担任・スクールカウンセラーに相談し、学級替えも確認)、2に教育委員会で条件確認(指定校変更・区域外就学の基準と必要書類)、3に申請と引継ぎ(校長の所見をそろえて申請し、支援シートを転校先へ引き継ぐ)
案内役

順番の考え方は「学校で見立てる、教育委員会で条件を確かめる、申請する」の三段階です。まず担任やスクールカウンセラーに、行けなくなった経緯と本人の言葉を事実ベースで伝え、転校を考えていることも率直に話してください。北区が在籍校や相談センターへの状況確認に一定の期間を要すると案内しているように、学校側の見立てや校長の所見は多くの自治体で審査の材料になります。学校を飛ばして教育委員会に行っても、結局は学校に確認が戻ってくるので、最初に学校と共有しておく方が早道です。

保護者

学校に「転校したい」と言い出しにくいのですが。

案内役

気持ちはよく分かりますが、国の通知は学校に対して、いじめや不適切な指導が原因なら転校の相談に応じることを求めています。静岡市の事例でも、学校・家庭・教育委員会がカウンセラーを交えて協議したうえで転校が決まっています。転校の相談は学校にとって想定外の話ではありません。「今の学校が悪い」と責める形ではなく、「本人の状況を一緒に見立てたい」という入り方にすると話が進みやすくなります。

保護者

なるほど。学校の次は教育委員会ですね。

案内役

はい。市区町村の教育委員会の学務・就学担当に、不登校を理由とする指定校変更や区域外就学の基準、必要書類、受け入れ制限の有無を確認します。あわせて、希望する学校の受け入れ状況や、転校後にどんな支援が引き継がれるかも聞いておくと安心です。国の通知は、児童生徒理解・支援シートの情報を必要に応じて転校先などに引き継ぐことが有効だとしています。転校しても支援が途切れないよう、引継ぎのお願いを最初から伝えておいてください。

  1. 担任・スクールカウンセラーに経緯と本人の言葉を伝え、要因の見立てを一緒に行う(転校を考えていることも共有)
  2. 学級替えや教室以外の居場所など、転校の手前でできる調整がないかを学校と確認する
  3. 市区町村教育委員会の就学担当に、指定校変更・区域外就学の基準、必要書類、受け入れ制限を確認する
  4. 学校長の所見や副申書など、自治体が求める書類をそろえて申請する
  5. 承認されたら転校先との引継ぎ(支援シート等)を依頼し、通学方法と学習の空白をどう埋めるかを決める
保護者

手前でできる調整というのは、学級替えのことですか。

案内役

そうです。国の通知は転校と並べて学級替えも挙げています。転校ほど生活が変わらずに人間関係をいったん切り替えられるので、要因が特定のクラス内にある場合は先に相談する価値があります。教室以外の居場所づくりについては五月雨登校の子どもへの対応でも触れています。

保護者

転校か学級替えかの二択で考えていましたが、それ以外にも並べて考えた方がよさそうですね。

転校以外の選択肢も並べて考える

案内役

そのとおりです。文部科学省の通知は、不登校への支援を「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、子どもが社会的に自立することを目指すものだと示しています。転校は「別の学校に登校する」ことを目標に置く選択肢なので、それが今の本人に合うのかは、いったん引いて考える価値があります。同じ通知は、一人ひとりの状況に応じて教育支援センター、不登校特例校、フリースクールなどの民間施設、ICTを活用した学習支援といった多様な教育機会を確保する必要があるとしています。

保護者

学校に籍を置いたまま、別の場所に通う形もあるということですか。

案内役

はい。今の学校に在籍したまま、教育支援センターやフリースクールに通う形は制度の想定内です。学校外の施設での相談・指導が一定の要件を満たす場合、在籍校の校長の判断で指導要録上の出席扱いとなることもあります。ただし判断は校長が行い、運用は学校や教育委員会で異なるため、利用を考える段階で在籍校に確認してください。条件と手順はフリースクールは出席扱いになる?にまとめています。

選択肢特徴向きやすい状況
学級替え生活を変えずに人間関係を切り替える要因が特定のクラス内にある
転校(指定校変更・区域外就学)学校ごと環境を変える。可否は教育委員会の判断要因がその学校の人・環境にあり、転校で解消の見込みがある
教育支援センター教育委員会が関わる公的な支援の場在籍校に籍を置いたまま、公的な居場所と学習支援がほしい
フリースクール民間の運営。費用・活動は施設ごとに異なる集団や一斉授業が合わず、本人のペースで通える場を探したい
学びの多様化学校(不登校特例校)不登校の子どもに合わせた教育課程の学校学校という形に転入したいが、通常の学校の枠が合わない
保護者

教育支援センターとフリースクールの違いがまだよく分かりません。

案内役

教育支援センターは教育委員会が関わる公的な場、フリースクールは民間の運営で費用や活動内容が施設ごとにさまざま、というのが大きな違いです。詳しくは教育支援センターとフリースクールの違いで、フリースクールそのものの仕組みはフリースクールとはで説明しています。学校という形のまま環境を変えたい場合は学びの多様化学校とはも選択肢に入ります。お近くの施設は当サイトのフリースクール検索で地域から探せます。

保護者

転校と、フリースクールなどの併用を同時に検討してもいいのですか。

案内役

同時に検討して問題ありません。むしろ、転校の審査には期間がかかることを北区が案内しているように、結論が出るまでの間にも子どもの毎日は続きます。その期間の居場所や学習の手立てとして、教育支援センターやフリースクールを先に使い始める家庭もあります。学習の空白が心配なときは不登校の勉強の遅れの取り戻し方を参考にしてください。

保護者

もし転校しても、また行けなくなったらどうしよう、というのが一番の不安です。

転校しても状況が変わらなかったとき

案内役

その不安は、転校を決める前に一度、言葉にしておいた方がよいものです。転校先でも行けなくなった場合、それは失敗ではなく「要因がその学校の環境だけではなかった」ことが分かった、という新しい見立ての材料です。国の通知が求めているのは、要因を把握し直して支援策を見直すことであり、登校という結果だけで評価することではありません。

保護者

見立てをやり直す、ということですね。

案内役

はい。転校先の担任やスクールカウンセラーに、前の学校での経緯と転校後の様子を伝え、もう一度アセスメントを依頼してください。支援シートの引継ぎを最初に頼んでおけば、前の学校の情報もそこに残っています。そのうえで、在籍したまま教育支援センターやフリースクールを使う道、学びの多様化学校に進む道を、今度は転校を経た経験も踏まえて選び直せます。親御さん自身の相談先は不登校で親がつらいときの相談先にまとめています。

保護者

転校を「最後の切り札」と思い込まなくていい、と分かって少し楽になりました。まず担任に、本人の言葉と転校を考えていることを伝えてみます。

案内役

それが最初の一歩として一番自然です。転校は選択肢のひとつであって、唯一の答えではありません。学校での見立て、教育委員会での条件の確認、そして転校以外の道との並べ比べを経て決めた転校であれば、うまくいってもいかなくても、次の一手につながります。お子さんの「あの学校じゃなければ」という言葉の奥にあるものを、学校や窓口と一緒にゆっくり探していってください。

この記事について

この記事は一般的な情報の提供を目的としています。出席扱いや公的支援などの制度は自治体・学校ごとに運用が異なるため、最終的な判断は在籍校・教育委員会・各施設への確認をお願いします。記事はAIによる下書きと機械チェックののち、公開前に人間が内容を確認しています(編集・レビュー方針)。

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